ほたるが生まれるお話

今回はほたるが卵を産んで孵るまでのお話。

ここ2年はコロナ禍ということもあり天城ほたる祭りはイベント等は行わず、いつもならスタッフが会場で案内をするのですが、お客様が自由にほたるを鑑賞するかたちとなりました。放流したほたるが元気に飛んでいる姿を見ると嬉しくなりますし、お客様が喜んでもらえたらそれはもう感無量です。ただし、育成しているわたしたちは見るだけでなく、数頭の親ほたるを安全に卵を産める産卵かごに移すお仕事があります。去年は親ほたるを産卵かごに入れるために数匹確保する作業がはかどりまして、十分な数を産んでくれるであろう頭数が産卵カゴに入りました。

ほたるは自然界では川や水路に生える水草に卵を産み付けます。一頭につき300〜500の卵を生むのです。大型台風がきたり、水路に洗剤などが流れたりするとほたるは耐えきれないことも多く、ヒルのような天敵もいます。それくらい産まないと子孫を残していけないんですね。

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ほたるが飛ぶのに十分な大きさのカゴの底面には水草を敷き詰め、濡らしておきます。かごの下に水を入れたトレーをセットし、エアレーションで水しぶきが常に水草に行くようにすることで乾燥してしまわないようにします。底面は網状になっていて、孵化したほたるは網目をすり抜け水の入ったトレイに落ちていく仕組みです。

なかなか出てこない幼虫、不安はMAX

2週間くらいで孵化して続々とトレイに落ちてくるのですが、今年は1ヶ月たってもちょこちょこしか落ちてきません。
ほたるはとても繊細ないきもので、水質の悪化やウイルスなどの病気があるなど孵化まで至るのは簡単ではなく、生まれたばかりの幼虫にもそういったリスクがたくさんあります。なかなか落ちていこないということは、何かがあったということ。

(もしかして、もうすでに産んだあと?)
(交尾しなかった?)
(孵化しなかった?水草になにかあった???)

調べてみても

・水草はしっかり湿っている
・天敵となりそうな虫が入り込んだ形跡もない
・水の具合も悪くない
・エアレーションもしっかり動いている
・エアーが出てくる位置もばっちり

どう見ても問題ないんですよ。例年と何も変わらないんですよ。

となると、ほたるに何らかの事象があった。と考えられます。
今年は飛び始めるのも早かったので、すでに交尾・産卵を済ませていた場合は水路にすでに卵があるはずなので、自然界にお任せ。交尾しなかったケースはオス・メスの比率も悪くなかったので可能性は限りなく少ないはず。

ではなぜ???

答えは簡単でした。

問題なし!!!!!!!!!

ええ、いっぱい生まれました笑。やばいやばいと不安がMAXになったころ、一気に出てきましたよ幼虫さん。むしろ予想よりも多いくらいで逆に焦りましたよ。概算で15000以上です。10000程度を予想していたので大きく裏切られました。一頭あたり300以上を産んでいる計算なので、むしろカゴ内の環境は良かったくらいでした!

いや、ホントに良かった!!!

しかししかし、これからが本番です。ほたるがすくすくと育てるようにこまめなケアを行っていきます。